ACM-ICPC 国内予選

国内予選の問題の総評・難易度など。2009年度までの、過去の国内予選の問題を全て実装・分析してみました。ネタバレを多分に含みます。

凡例

難易度は☆5段階で表しています。★は☆半分を表します。

  • ☆    :非常に易しい。全員が解いてほしい問題。
  • ☆☆   :易しい。アジア地区予選に進む為には絶対に解かなければならない。
  • ☆☆☆  :標準。アジア地区予選に進む為にはこのクラスの問題を1つは解けなければならない。
  • ☆☆☆☆ :難しい。上位に食い込む為には解かなければならない。
  • ☆☆☆☆☆:大変難しい。上位陣でも難しい。

解法・アルゴリズムでは、キーとなるアルゴリズム名を書いています。ad-hoc と書いてあるものは、その場その場で実装して解いていく問題を表しています。

ソースは、私が解いたソースへのリンクを張っています。

公式の output や PKU での問題と解答を比較していますが、解答が提供されていない問題もあるため、正答と比較出来ない場合があります。その場合備考に “Not Verified” と書いてあり、ソースの正当性は担保できません。間違っている恐れもあります。また、他の人が解を既に公開している場合、その解との比較を行って正解と見なした場合、その解へのリンクを張っています。また、PKU やプログラム・プロムナードへのリンクも、あれば張っています。公式の output があるものは PKU は通してないので、PKU だと TLE になる可能性があります。

1998 年

日本地区予選が始まった年。今から見ると簡単な問題のみで構成されています。それでもみんな解けていません。

1999 年

問題が5題に。今から見るとそれほど難しい問題は出ていません。

正答例がないため、Naoyuki Tamura さんの解答と比較しています。

2000 年

前年よりは少し難しくなっていますが、まだそれでも今よりは簡単でしょう。E はやや問題文が理解しにくい。 この年の問題も正答例がないため、Naoyuki Tamura さんの解答と比較しています。

2001 年

前年と同程度の難しさ。

正答例が提供されていないため、東工大 Wiki の正答例と比較しています。

2002 年

幾何問題が少し難しいですが、今のチームのレベルならおそらく全部解かれてしまうでしょう。A-D は今なら 80 分ぐらいで処理されてしまうかも。 東工大 Wiki, ACM-ICPC OB/OG の会に投稿されたソースと比較。C, D は未比較のため間違っているかもしれません。

2003 年

E とそれ以外の難易度にかなり差があります。4問正解チームがかなりあり、全問正解は1チーム (Gokuri、自分のチーム)。E は探索ですが、ヒューリスティクスが必要なところが難しくなっています。最小全域木のアルゴリズムを知らないと、この年は苦しい戦いになったでしょう。

PKU に問題があるので、PKU で確認。

2004 年

問題が6題になり、易しい問題が一題追加されました。D, E, F はそれぞれ別の能力を要求しており、全て解ききるのは難しめ。D は幾何のひらめき、E は実装力、F は情報科学的なアルゴリズム構築能力と、かなり良いセット。全問正解が1チームあった(Gokuri-squeeze、これも自分のところのチーム)。

D は -O2 をつけて (あるいは Release build で) コンパイルしないと非常に遅くて、正解なのに正解と思ってなかったというチームがありました。

2005 年

少し易しくなりました。E は幾何とシミュレーションの両方をこなす必要があって、やや難しめ。1チーム (GNC) が全問正解。

2006 年

少し難し目のセット。F は分かればそんなに難しくないが、本番で解くのは厳しい。C は実装が面倒。Input, Outout は こちらにある。5問正解が2チーム。C, F が両方とも国内予選で最難クラスの問題なので、全問正解はかなり厳しいだろう。

2007 年

E を除いて易しいセット。E はおそらく国内予選の史上最難問題と思われます。A は国内予選最易。この年は特別に予選通過チームが多くなっていました。5問正解が4チーム。

2008 年

全問正解が3チームも出た年。F 以外は易しく、最難問題としての F は例年並。

おそらく来年は、難しい問題2題のレベルがあがるだろうと予想します。E が難しい問題のレベルとしては簡単すぎるため、F を解く時間を与えてしまっています。みんな確かに幾何は苦手です。しかし、、これぐらい単純だと苦にならないので、幾何問題として選手を苦しめるには至っていません。

2009 年

全問正解が1チーム。D は拡大グラフのダイクストラ、E は2部グラフの最大マッチングと、知識と経験がものをいう問題が並びました。5問以上正解は15チームもあるという、レベルの高い争いでした。5問正解しても予選落ちしたチームがついに東大以外からも出ました。上位陣向けに、中盤の問題をもう少し難しくしないとだめかも。F は幾何で難しそうなのだが、落ち着いて書いてみると意外とあっさりと書ける問題。F の解答ソースは長さが更新されるまでループということにしています。誤差がゆるいのでこれで大丈夫でしょうが、議論の余地はあるでしょう。

2009-12-31
icpc